タイトルから気になる!大人のためのおとぎ話「赤いモレスキンの女」

こんにちは。広島蔦屋書店の河賀です。
花粉と黄砂と共に春の風が吹き始めました。

アレルギーの方にはつらいかもしれませんが(涙)春の訪れはやはり陽気を運んでくれます。
気忙しい中にも新たな気持ちで新年度を迎えたいですね。

大人のためのおとぎ話「赤いモレスキンの女」

「赤いモレスキンの女」原著 Antoine Laurain ・著 アントワーヌ ローラン・翻訳 吉田 洋之 

最近わたしはとてもロマンチックな海外文学を読みました。
その春のそよ風のように爽やかな大人のおとぎ話を今回はご紹介いたします。

は~こんな事が自分におこったなら、と、うらやましくてため息が出ちゃいます。

まだ見ぬ相手に惹かれていく

物語の舞台は2014年冬のパリ。
金箔職人の女性ロールが強盗にバックを奪われ、ごみ箱の上に置かれていたそのバックをパリの書店主ローランが拾う事からおとぎ話は動き出します。

バックの中にはモディアノ(フランスの作家)のサイン入りの本や、赤いモレスキンの手帳が入っていました。
モディアノのメッセージにより彼女の名前を知り、手帳に綴られた好きなものや怖いもの「私は人物の登場しない風景画が好き」「私は乗客でいっぱいのメトロに乗るのが怖い」
いくつもの彼女の断片によって想像を掻き立てられ、持ち主を探しはじめます。

意図せず見知らぬ誰かのカバンの中を見たり自分宛ではない手紙や文章を読む事は、後ろめたさと同時にワクワクし、それが不思議で魅力的なものだったなら魅せられてしまうのは必然かもしれません。
わたしも探しちゃうかな~いや探してほしいな(笑)

ローランの賢明な捜索の末、まだ見ぬ、見ることはない(つもりで)ロールに手紙(とても素敵な)を書きます。
そして見知らぬ男の置手紙にロールも思いをはせるのです。
「私は住所を残さず、姿を消す彼のやり方が好き」「私は彼に会えないことが怖い」
正体を知らぬまま静かに魅かれあう二人の感情表現も巧みで素晴らしいのですが、その他の登場人物と街の様子をとおして見える人と人の繋がりや、実在する作家へのリスペクトも感じられる心温まる物語だと思います。

イギリス王室のカミラ夫人が「完璧なパリの傑作」と絶賛されたことから、話題の絶えないイギリス王室の騒動も根底に愛あればこそと願いたい。

その結末は‥

結末はといいますと、気持ちよく期待を裏切りません。

いくつもの本が登場し書店主が主人公という本の物語でもあり、本好きの人や大人の恋に触れたい人必読です。
わたしはちょうど4月始まりの手帳を買ったので赤い革でカバーを作ろうと思います。
まずは赤い手帳を持つことから!ね(笑)

中身が気になる「何者からかの手紙」

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