最近話題の韓国文学はいかが?イ・ランの「悲しくてかっこいい人」でささやかな癒しを。

こんにちは。広島蔦屋書店の河賀です。
新年が明けまして、大寒の候いかがお過ごしでしょうか。本年も皆様お元気で幸多き年となりますように。

最近話題の韓国文学

さて、今回ご紹介するのは前回に続きましてこじらせ系女子海外文学ではありますが、最近話題の韓国文学です。

今なぜ韓国文学がおもしろいのでしょう。

映画や音楽、そして書籍と様々な文化的分野で注目されている韓国。
特に若い世代の感覚は割と日本と近いのかなと感じますし、センスもユーモアもある作家が増えているように思います。

またその反面、消し去ることのできない歴史的な経験や社会的背景によって打たれ強い生命力と独特の切なさが漂うのも韓国文学の魅力ではないでしょうか。

イ・ラン 「悲しくてかっこいい人」

悲しくてかっこいい人
著:イ・ラン 翻訳:呉 永雅

イ・ランはまさにそんなオシャレで自由で不自由な、エッセイストです。
映像作家でもありシンガーソングライターでもある彼女の著書「悲しくてかっこいい人」は73編のひとりごとエッセイで目次に並ぶタイトルからもセンスのよさがうかがえます。

「NAVERで検索すると出てきます」というタイトルの1話目での自己紹介からはじまり、淡々とフラットに、かつ赤裸々に綴られていく思考に触れていると、親しい友人の話を聞いているような気分になります。

日々の出来事から恋の話、かと思えば死への恐怖、様々な表情を見せながら脈絡なく綴られていく当書は、家族、友人、恋人との関係の楽しさや辛さ、社会への不安や疑問、を投げかけるのではなく淡々と語ることで心地よく読み進めることができます。

こんな風にストレートにかっこよく自分の思考を表現できたらなぁなんて思ったり・・・
エッセイを書こうなんて思わないでしょうけど、日記を書くのってやっぱりいいのかもしれません。
気持ちの整理や発散に2020年からはじめてみてはどうでしょう。わたしも検討します・・・

話がそれましたが、アーティストであるイ・ランは「わたしが思うアートの目的は『癒し』だ」と当書に綴っています。
音楽、映画、動画、ゲーム。確かにそうかもしれません。
仕事をすることで日々疲弊しながら生きている私たちを癒すアート。
そのアートを作り出すアーティストもまた疲れるのです。

それでも人々にささやかな癒しをと願うイ・ランの作品に触れればきっとささやかに癒されることでしょう。

それでもわたしは作りたい。人々がどんな癒しを求めているのか知りたい。
そのためには、まずわたしがどんなふうに癒されたいのか知らなければならず、
そのためには、わたしの暗くて悲しい心をのぞきこんでみないとならない。
それはほんとうに、とても疲れる。
それでもわたしは。 

−悲しくてかっこいい人「しんどい職業」より引用

広島蔦屋書店でも韓国文学コーナーを設置しました

文芸文庫コーナーの海外文学棚に韓国文学を並べています。

あらゆるジャンルが入り混じる韓国文学の新しい流れを感じていただきたいです。

イ・ランが広島にやってくる!

イ・ラン のゴーウエストツアー
場所:LIFEMARKET HARBOR CLUB
期間:2020-02-11

今回ご紹介した韓国の作家「イ・ラン」
シンガーソングライターとしても活躍する彼女が、2020年2月11日に広島にやってきます!
ご興味のある方はぜひご参加ください。

→イベント詳細ページ