蔦屋書店員おすすめ!真夏に読みたいミステリー「原因において自由な物語」
こんにちは、広島蔦屋書店の河賀です。
わたしは真夏に一つ年を取るのですが、以前紹介したお取り寄せ本で自分の誕生日に届くように注文していた巨大プリンの到着に驚喜したものの、夏バテ気味でムカムカしてほとんど食べられないというサプライズで迎えた2021年夏でございます。
そんなこんなで珍しく食欲がないからという訳ではないですが、今回は最近注目の弁護士作家 五十嵐律人さんの新刊ミステリーをご紹介します。
「原因において自由な物語」を読み、謎解きしませんか?
五十嵐 律人、三作目のミステリー
デビュー作「法廷遊戯」は広島蔦屋書店の読書会にて NetGalley のイベントとして発売前にみんなで感想を書きました。
リーガルミステリーというと小難しいかありきたりか、と思ったのですがそのどちらでもなく、一言で言ってとても面白かったので注目していました。
その五十嵐さんの三作目で装画もまた絵本で大注目のjunaidaさんという手に取りたくなる一冊です。
一気に読みたくなるストーリー展開
秘密を抱える人気作家、二階堂紡季の小説を軸にして様々な人物の視点から描かれるミステリーですが、序盤で「どゆこと?」と引き込まれて一気に読めてしまいます。
ミステリーだとたいていわたしは、伏線を拾い集め犯人やトリックを詮索してばかりになりがちなんですが、それよりも物語自体が何を伝えようとしているのか、の方が気になったような。
残酷な人間心理に心が苦しくなるような場面もありますが、軽やかなストーリー展開と垣間見える希望に著者のメッセージを感じ、爽やかな読後感があるのは前作に通ずるものがあります。
また、少しだけ先の未来の物語という設定なのですが、人間の価値をそれでほぼ決めてしまいそうな、しかし実際に開発されることもあり得そうな恐ろしいアプリや、いじめをウィルスに例える等ゾッとしながらもセンスを感じます。
ミステリーなのでネタバレ注意で何もお伝えできてない気がしますが、ちょっとした仕掛けがあるとかないとか。
キーワードは「原因において自由な行為」と「物語の中の物語」かな。
物語が伝えられること、物語にしか伝えられないことがある。物語の力を信じたい。
謎を解かなければ。
私は作家なのだから。
YouTubeにも飽きてきたというそこのあなた、今夜は動画は少し休憩して久しぶりにミステリーを読んでみませんか。
今月のおすすめもう一冊
こちらがデビュー作「法廷遊戯」。
第62回メフィスト賞受賞。
二転三転する事件から目が離せません!
法律や裁判の面白さ、正義とは何かを考えさせられる傑作法廷ミステリーです。
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