
広島蔦屋書店で食の本を担当しています。仕事で料理をすることもありますが、作ることよりも食べることが好きなアラフォーです。本はもちろん好きですが、本屋さんが好きです。甘いものと、古いものと、かわいいものとか色々好きです。休日に一人で定食屋さんや喫茶店に行くのが最近の楽しみです。
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こんにちは。
広島蔦屋書店の河賀です。
節分も過ぎて暦の上では春ですね。
今年の節分は124年ぶりに2月2日でした。
危うくスルーするとこでしたが、気の利く友人のおかげで2日にオシャレなパエリア恵方巻を食べることができました。
春の訪れとともにみなさまに幸福が訪れますように!
「かか」作 宇佐見りん
さて今回は、先日「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞された宇佐見りんさんのデビュー作をご紹介します。
デビュー作といっても「推し、燃ゆ」の前作なので2作目にして芥川賞!
すごい新人さんです。
「かか」は気になりつつも未読でしたが「推し、燃ゆ」が候補に入ってからすぐに読みました。
ミーハーですね(笑)
でも読んでよかったと思います。
主人公のうーちゃんは、離婚を機に心を病み自分も周りも傷つける母(かか)に翻弄されながら生きています。
母を憐れみ、憎み、そして愛しすぎて、かかの痛みがそのままうーちゃんの痛みになるのです。
祖母に愛されたかったかか、冷めた態度で運命を受け入れる従妹への嫉妬、唯一の心のコミュニケーションの場SNS、あらゆる場面への感情の表現力が素晴らしく読者の胸を衝きます。
きっと同じ境遇でなくとも共感できることがあると思います。
はっきょうは「発狂」と書きますがあれは突然はじまるんではありません。
壊れた船底に海水が広がり始めてごくゆっくりと沈んでいくように、壊れた心の底から昼寝から目覚めた時の薄暗い夕暮れ時に感じるたぐいの不安と恐怖とが忍び込んでくる、そいがはっきょうです。
その後に続くかかが発狂していく様子はまさにはっきょうでした。
独特の方言と文体ではじめは読みにくいと感じるかもしれませんが、読んでいると気にならないというかそれが「かか」であり、一気に読めると思います。
誰もが避けられない母から生まれたという事実、生まれてしまったという事実の重さをうーちゃんはどう受け止めるのでしょう。
痛切な愛と自立の物語です。
「推し、燃ゆ」作 宇佐見りん
推しが炎上した。
ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。
そんなある日、推しがファンを殴った。(「BOOK」データベースより)
推すことの喜びと苦しみと生々しい執着の描写、胸に突き刺さる表現力に注目です。